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半水慮

半水慮(はんずいりょ)は、長崎県の雲仙にある有名な高級旅館。
バブルの頃に、京都系の資本で百数十億円をかけて、最高の宮大工と材料で建てられ、板場は吉兆嵐山本店から引き抜かれ、当時は一泊30~50万の部屋もあった超高級旅館で、高嶺の花だった。その後、経営がかわり、1人5万円程度にはなったが、それでも九州、日本を代表する高級宿。
ずっと憧れてはいたが、先立つものもないし、今回は日帰りプランで利用した。

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半水慮へ。
緑にあふれ、気品と風格がある。
雲仙の自然の中、6000坪の敷地に全14室の離れが点在する、贅沢な宿だ。
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フロントで受付。
吹き抜けのロビーは豪華でしゃれているが落ち着きを感じる。

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日本庭園の中の東屋、洗心庵でお茶を。
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大福はもっちもちでほどよい甘さ、煎茶はていねい。
この雰囲気だし、とてもよかった。

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部屋へ案内。
2階建て離れの水無月。
数寄屋造りの見事な和風で、72坪とマイホームよりはるかに広い。
坂にあるので、2階が入り口。
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玄関に入ると、部屋のように広く、豪華だがさりげなく飾られている。
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奥への廊下があり、1階への階段、さらに左に浴室、右に広い洗面所とトイレ、そして奥に主室。
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脱衣所は綺麗、檜風呂は小さめで沸かし湯だが、坪庭が風情ある。
温泉もあるので入らなかったけど。
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次の間6畳(右)、座敷11畳(左)と並んでいて、広々としている。
床の間もしっかり、柱、壁、天井などさりげなく趣向が凝らされている。
広縁も大きく、窓の外は、雲仙の山と緑。
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座敷と次の間の手前は通路でつながっている。
浴衣、足袋、お風呂セットもしっかり。アメニティーもきちんと。
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広縁から、外の緑と空がきれい。
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庭園の緑、山々、奥には高岩山881m。
自然豊かなところ。
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階段を下りて1階へ。
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廊下も広く、あかりとりに水盤、いろんなところに凝っている。
洗面所とトイレもきれいでしゃれている。
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奥は、次の間7.5畳(右)、座敷14.5畳(左)と二間続きで、広々としている。
床の間、飾り、いろんなしつらえ、どこをみても素晴らしい。
畳縁の外は見事な日本庭園。
座敷では、仲居さんが12時の昼食の準備をしていた。
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日本庭園には散歩にも行ける。
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あとは、昼食の準備ができるのを2階の広縁でお茶をいただきながら待つ。

12時に昼食の準備ができたので、1階座敷へ。
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日帰りプランは、1人15750円、18900円、21000円のコースがあり、品数や内容が変わるらしいが、今回は15750円。
昼前にチェックインしてから4時間部屋を利用できる。
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半水慮の有名な月替り懐石コースの始まり。
いろいろ気をつかってくれるので、とりあえずなんかの記念日にした。
まずは、食前酒。
車で来ているのは分かっているので、僕のは葡萄ジュース、濃厚冷たくとてもおいしい。
笠にお目出度うございます万寿。
箸置きは宝船。
基本、陶器は有田焼、漆器は輪島塗り。
見ただけで、ワクワクしてくる。
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連れは、自家製喜久酒、金箔入りできつめだがとてもおいしいとの事。
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万寿の中の向附:
鮑柔煮 焼茄子 肝味噌 柚子。
めでたい鶴にきれいに盛りつけられ、鮑は大ぶりでやわらかくぷにぷに、風味も抜群、そして肝味噌が上品ながら味がしっかり最高に合う、柚子とダシのジュレも味代わりによい、焼き茄子はあっさりと仕事がしてあって口直しによい。
いきなり目が覚める絶品。
今まで食べた鮑でダントツだった。
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煮物:
土瓶蒸し;鱧 松茸 豆腐 水菜 酸橘 梅肉醤油。
結構な量の鱧と松茸。
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仲居さんが手際よく作ってくれる。
2人ともウーロン茶を。450円x2+サ135円+消費税。
ほんとはすごく飲みたいところだが、いつか泊まる時にとっておく。
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土瓶蒸しを。
黄金の汁はダシが調和し、煮込んだうま味も出て、すばらしかった。一滴残さず。
香りの松茸はくにくに、水菜はしゃきしゃきなど、どれもおいしい。
やわやわで甘みの残ったハモは、上品かつほどよい酸っぱさで抜群の梅肉醤油と合って、めちゃくちゃおいしかった。
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造里:
髭剃鯛 水烏賊 間八 あしらい 山葵 天日古代塩。
行ったのは2011年の秋だったが、宮城ということで料理長がトロをサービス。
大きな扇子にのせて。
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ご覧の通り、素晴らしい。
ホントにおいしいものって、見ただけで分かるよね。
もちろん、器はしっかり、温かい物では温めて、冷たい物は冷やして。
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有田焼の鯛の親子、しょう油差しのかわせみ。
さりげない遊び心も感じる。
東北だと、似たような宿に御宿かわせみがあって凄いところだけど、かわせみは豪華で派手さがあってツメの甘さを少し感じるが、半水慮は見事に完成されている。
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大トロは、脂がきれいにさして、軽くかんだだけで溶けていく、それでいて上品でくどさがない、赤身の味もしっかり。あぶらぎっとりの大トロもいいがこれもすごい。絶品。
近海ものというが、九州でもあるところにはすごいものがある。
カンパチは、くにくにで脂乗りもよく、すばらしかった。
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ミズイカは、透き通る白さでぶあつめ、甘みありくにくに、これも絶品。
長崎県産とのことだが、佐賀の呼子も近いし、呼子のヤリイカ(ケンサキイカ)とは違うけど凄い。塩もあらめしょっぱめだがまろやかで極上。
ヒゲソリダイは、ぷにぷにで新鮮淡泊ながらうまみあり、絶品。
わさびもつんと辛いが味わいがあり極上、しょうゆもコクがある。
あしらいもよかった。
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さらに、料理長からサービスで、箸休めの鯛と赤飯。
軽くあぶった鯛に胡麻、もちもちで味のしみた赤飯、あっさりで数口だが、とてもおいしい。
料理長も被災地のことを心配してましたから、と言いながら、いろいろサービスしてくれるのは本当にすごい。震災後もいろいろ出歩いているが、遠くでは関心すらないところも多い。雲仙も噴火、さらに半水盧クラスだと、大震災の不況なども影響あるはずだが、雲仙も大変だったから程度でかわすし。
お茶も、さりげなく出してくれた。
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窓の方をみると、立派なフクロウの屏風、庭園。
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八寸:
山の幸、海乃さち。
和風で、見事な細工と盛りつけ。花もあり実もあり。
料理長の佐々木正 氏は、その前の料理長の石原仁司 氏と一緒に京都吉兆からきた方で、吉兆の影響を強く受け、見た目と器、素材とダシにこだわり、客のペースに合わせてダシをとるなど、味も徹底して追求している。
石原仁司 氏は、今は京都「未在」の店主で、日本料理の最高峰と言われている。
その後任というのはすごい大変なことだと思うが、すばらしい料理だった。
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見事に、花を咲かせ、実も付けている。
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取り皿に一品ずついただく。
枝豆は、上品でしっかり味、ホオズキにかわいく入って。
小魚の佃煮は、くにっと味もしみてつまみによい。
唐墨は、ボラの卵巣そのままの物と、イトヨリダイを包んだもの。こってりべっとりでしょっぱ濃厚で本当に酒がほしい逸品。淡泊な鯛ともよく合う。
卵と白子のうるかは、鮎のはらわたの塩辛で、ねっとりなめらかながらあっさり。杏仁入り。
多比良蟹は、近くの多比良の渡り蟹で、しっかり味であっさり、紅葉と酢味噌も合う。
とりわすれたが、茄子のお寿司は、ほどよい味付けの茄子でうまうま。
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ウニは、濃厚こってり甘く酢味噌をかけてあっさりと。
ネギのおひたしに小さな海老、あっさりと上品に。
ゴボウのウナギ巻きは、あっさりながらウナギしっかり。
地元の山の幸、海の幸、どれもとてもおいしく、本当に酒がほしくなる。泊まりたいなあ。
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焼物:
かます一夜干し 長崎牛 落子芋 銀杏。
きれいな器に入って。
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金の折り紙の中には熱々の長崎牛、かまずにとろけるやわらかさときれいで上品な脂、肉の風味もきちんと、絶品だった。
かます一夜干しは、こんがりパリッと焼けて中はほくほくで脂乗りよく、これもすごい。
落子芋は、ねっとりで味噌も合う。
銀杏は、風味よく口直し(食べ終わってるけど)。
シメジもこんがり風味よくおろしで。
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焚合:
秋むすび 穴子 菠薐草 茗荷。
秋むすびは、くたくたの干瓢巻きにゴボウなどで、甘じょっぱいダシのきいた汁がしみて茗荷をかけて、吉兆らしい味。
穴子はほっくりで味がしみて、菠薐草はおひたしで。
ていねいでおいしい。

すばらしい食事も終盤。
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御飯:
鯛茶漬 海苔 山葵。
香の物:
小蕪、水茄子、高菜。
上品で質のよい漬け物だった。
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確か地元のヒノヒカリの新米で、そこそこ大粒でつやもっちり、甘みもわずかにあり、さすが半水盧。
茶漬けにするのがもったいないけど、、ダシのしみた鯛、パリパリの海苔、水菜、ごまだれ、だし汁をかけて、鯛の胡麻茶漬けに。
最初は少しごまだれが甘みを感じてこってりかなあと思ったが、食べるうちに、鯛のうま味、汁はあっさりながらダシが出てきて、わさびもきいて、おいしくて癖になる味。
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外を見たら、ヒガラが水遊びしてた。
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果物:
有の実(ナシ=無しが転じて有り) 葡萄 無花果(イチジク)ワイン煮 宇治シャーベット。
宇治茶が濃厚濃厚で渋く、餅とも合って、ゼリーもあっさり、絶品。
イチジクのワイン煮もくたくたで濃厚、とてもおいしい。
梨、葡萄は、新鮮ジューシー。
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食後はコーヒーにしますかといわれて、お願い。
濃いめでおいしいコーヒーと、地元の有名なケーキやさんのチーズケーキこってりおいしい。
結構な追加料金を取られるだろうと思っていたら、サービスだった。
以上、2時間弱。
見ためも味も最高で、いろいろ気も遣ってもらって、広間の雰囲気も良く、今までで一番の和食だった。
2時間も、感動と心地よさでまったく時間を感じないところはミシェルブラスと同じ。
あとは、小鉢と強肴が付けば夜のフルコースになるんだろうが、この値段で十分すぎる。

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食後はあと2時間近くあるので、まずは大浴場へ。
1階から出ると、透かし彫りのあかりがお見送り。
水無月なのでアジサイ。
半水慮のおそろしいところの一つ、斜面を上手く利用し、すべての離れは1階の根本で本館や大浴場と地下通路のような形でつながっている。
それが、大浴場に向かう途中で明るく庭園のみえる通路となる。
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今回は東の湯。
斜面の通路を下っていく。
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到着。
中で分かれて、男風呂へ。
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脱衣所、そこそこの広さでピカピカ。
サウナ後の補給用の特級自然塩と冷水。
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内湯は、水風呂、サウナも備え、そこそこの広さ、綺麗。
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外の露天と緑がみえる。
熱めの白濁湯でいい。
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岩露天は、こぢんまり。
緑に囲まれ、白濁した硫黄の香りのあるお湯も素晴らしい。
昔は、温泉と書いてうんぜんと呼んでいたらしく、そこから雲仙、雲の上の楽園となった。
1300年の歴史がある。
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硫黄泉につかり、雲仙の緑と空、透けて山も少し見える。
かけ流しのそそぐ音、トンボもたまに、のどかで熱くていい湯だ。
半水慮には、もう一つ、西の湯もあるし、特室にはすごい露天があるらしいし、どこまでも贅を尽くし、さりげなく、の宿なのだ。

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あとは、4時近くまで部屋でゆったりとし、後にする。
最後は、出てこれる人は勢揃いで、見えなくなるまで手を振っていた。

旅亭 半水慮。
半分づつ水を分けるの意味通り、贅を尽くした施設、温泉、料理、サービスをさりげなく満喫させてくれる名旅館だった。
日本一の旅館とはどんな宿なのか、それをめざし続ける半水慮には頑張って欲しい。
なかなか遠くていけないけど、余裕が出たら、再訪したい。もちろん、10万円の日本一とも言われる特別室に。

http://hanzuiryo.jp/
旅亭 半水慮
長崎県雲仙市小浜町雲仙380-1
0957-73-2111


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